大腸がん

大腸がんとは

大腸は、直腸と結腸に分けられます。直腸は直腸S状部、上部直腸、下部直腸で構成され、結腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸で構成されます。
私たち日本人にできる大腸がんの約7割は、直腸またはS状結腸によって占められています。
大腸がんには、大腸ポリープががん化したものと、正常粘膜からがんが発生するものとがあります。いずれの場合も、大きくなると粘膜の外側へと拡大し、リンパ管・血管を介して肝臓や肺などへ転移を起こすことがあります。
大腸がんは、早期発見・早期治療ができれば、良好な予後が得られやすいタイプのがんです。早期大腸がん(ステージⅠ)の5年生存率は、90%以上にものぼります。一方で、進行性の大腸がん(ステージⅣ)の場合、5年生存率は20%以下に留まります。
大腸カメラ検査より、早期発見、早期治療を開始することが重要です。

大腸がんとは大腸がんの頻度、統計

国内では、1年間に約1516万人の人が大腸がんと診断されています。
男性ではもっとも多いがんであり、女性でも2番目に多いがんです。死亡数としては、男性で全がん中2位、女性で全がん中1位を占めます。年々増加傾向にあり、女性でも2番目に多いがんです。死亡数としては、男性で全がん中2位、女性で全がん中1位を占めます。

大腸がんの発生の経路

大腸癌の発生経路(できる過程)に大きく2つの経路があります。

1)良性ポリープが癌化する経路 (adenoma‐carcinoma sequence型)

腺腫という最初は良性の腫瘍性ポリープが癌になるケースです。
10mm以上の大きさになると癌化する危険性が高くなります。

2)正常粘膜細胞から直接癌化する経路(denovo型)

ポリープのようにすぐに見つかる少ないケースは少ないですが、5mm以内でも癌として大腸内視鏡検査で見つかることがあります。(微小ガン)
大腸癌の発生経路としては、1)からのケースが多数を占めています。

大腸がんの原因

近年 遺伝子解析でガン抑制遺伝子の欠損が腺腫を形成する引き金となること、さらに刺激、細胞の変性、酵素の関与から腺腫が増大し、再び別の遺伝子の欠損、損傷からガン発生、浸潤が判ってきました。
大腸癌の発生に、下記の遺伝子異常の多段階発現が大変よく知られています。(Vogelstein1 990 改変)

大腸がんの原因

大腸がんのリスク要因

大腸がんのリスク要因は、主に生活習慣の乱れにあると言われています。

食生活

牛肉・豚肉の赤み、加工肉の摂取量が多い人、喫煙をしている人、肥満傾向にある人は、大腸がんのリスクが高くなります。

運動不足

運動不足の人、また運動不足に伴う肥満の人は、大腸がんのリスクが高くなります。

その他

大腸がんになったことがある家族がいる人は、そうでない人と比べて大腸がんのリスクが高くなります。

大腸がんの症状

大腸がんの症状

大腸がんは、早期にはほとんど症状がありません。 少しでも異変を感じたり、便潜血検査で陽性の判定が出たときには、大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。

  • 腹痛
  • 膨満感
  • 便秘、残便感
  • 便秘と下痢の繰り返し
  • 血便
  • 便が細くなる
  • 急な体重減少
  • 貧血

当院の大腸がんの検査、診断

大腸がんが疑われる場合には大腸カメラ検査を行います。
将来、大腸がん化する可能性がある大腸ポリープ、特に、大腸のポリープの中でも「腺腫」と呼ばれるものは、ポリープのままならば良性なのですが、時間の経過とともに悪性化(がん化)となる可能性があるため、すべてが切除の対象になります。
大腸カメラでは、大腸全域の粘膜を全て確認でき、検査中に発見した大腸ポリープを切除できるため、将来の大腸がん予防にもなります。他に病変があれば、病変の組織を採取して病理検査による確定診断が可能です
早期大腸がん、わかりやすいものは、簡単に見つけられますが、通常、微小がんという数ミリ 単位のものは、緻密な観察と時間が必要です。当院で使用する大腸内視鏡には、粘膜の微細な変化を強調する機能を備えておりますので、短時間で微小がんを探しだすことができます。
ポリープ、早期がん(微小がん)どちらも大腸カメラ検査で切除治療可能なものです。
当院では、レーザー光を搭載した、ハイビジョン画像を映し出す富士フィルム製の内視鏡による大腸カメラ検査使用し、熟練した医師による、不快感、苦痛のない大腸カメラ検査を行っており、最新の高度内視鏡システムを用いて緻密、詳細な検査を行っています。
粘膜の微細な変化を強調する機能を搭載しており、精度の高い検査ができます。 内視鏡の先端から組織を採取し、病理検査による確定診断も可能です。
大腸カメラ検査に苦手意識のある方には、ご希望に応じ鎮静剤を投与しウトウトとした状態で検査を終えられます。日本内視鏡学会専門医である院長が、経験と知識に基づいた正確な検査を行いますので、安心してご相談ください。

 

大腸がんの治療

内視鏡での切除手術

“がん”が、ポリープ内、粘膜、または粘膜下層までに留まっている「早期がん」の場合には、内視鏡による切除が可能で完治できます。(ステージ1) 

外科手術(開腹手術、腹腔鏡手術)

直径2センチ以上のがん、浸潤が深いがんなどの場合には、腹腔鏡手術や開腹手術、抗がん剤治療に対応している連携高度医療機関をご紹介します。
がんを含む大腸を摘出する方法です。大腸がんができる部位にもよりますが、直腸や肛門を切除するような場合は、便を排出する出口として、人工肛門を造設することがあります。

化学療法

転移のある場合、抗がん剤を使用した治療法です。点滴などで投与する場合と、内服による治療があります。
外科手術が適応となる場合も、手術の前や後に、化学療法を行うことがあります。

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