胃カメラは「症状が出る前に受ける時代」へ
「まだ若いし、胃の検査なんて必要ない」そう思っていませんか?
実は、胃がんは、症状が現れたときにはすでに進行していることが多いのです。
そのため、近年では「症状がなくても定期的に胃カメラを受けておく」という考え方が、医療現場では常識になりつつあります。
では、いったい何歳から胃カメラを受けるべきなのでしょうか?
そして、どんな人が早めに検査を受けたほうがいいのでしょうか?
胃カメラは何歳から受けるべきか?
医学的な観点から、胃カメラはおおむね40歳を目安に一度受けておくことが推奨されています。「昔の衛生環境で、免疫力の弱い幼少時期にピロリ菌感染し、胃の中のピロリ菌による慢性胃炎から多くの胃がんが発症することが1980年代後半に発見され、約30年前からピロリ菌除菌治療が試験段階から開始され、日本人の1番の胃がんが国民病でしたが、まだ、がん死亡原因の上位に存在します。」「2015年、 衛生環境改善、ピロリ菌除菌の普及でピロリ菌感染者は、 20代約20%、30代約30%、40代約40%、50代約50%、60代約60%、70代約70%」の報告があり、高齢程、罹患期間も長い為多くなります。これは、日本における胃がんの発症リスクが40代以降に急激に高まるという疫学データに基づいています。
ピロリ菌除菌の普及、健診の普及で胃がんの死亡順位が下がり、実際に、国のがん検診ガイドラインでも「50歳以上の人に対して2年に1度の胃がん検診を推奨」とされていますが、症状がある場合やリスクの高い方には、40歳前後から年に1度の内視鏡検査を推奨する専門家もいます。
特に、40歳を超えてからの胃がんの発見率は増加し、40代での発見=早期治療(早期がんであれば、胃内視鏡)で完治が可能なことも多いため、「40歳になったら一度は胃カメラ」という考え方が広まりつつあります。
20代・30代・40代が知るべき検査の必要性
若い世代では、胃カメラはまだ早いと思われがちですが、実際には少なからず20代、30代でも胃がんが見つかるケースは存在します。
その多くは、ピロリ菌の感染と異なり、胃壁の中を浸潤するスキルス胃がんのケースが多く、原因は不明です。胃壁の伸展がなくなり、急な食欲、食事量の低下、体重減少などが特徴です。
また、「仕事、時間に追われるストレス社会」もしくは、「食べ物が豊富な多飲、多食社会」といわれる現代では、20代や30代でも逆流性食道炎・消化不良症、ストレス(神経)性胃炎、胃潰瘍などの胃の病気を発症している方は決して少なくありません。
症状がないから大丈夫と思っている方ほど、一度は胃カメラで「中を直接見る」という安心を得ておくべきです。早期に異常を見つけることで、体への負担を最小限に抑えることができます。
年齢・リスク別の検査頻度の目安
では実際、何歳でどのくらいの頻度で胃カメラを受けるべきなのでしょうか。
40歳前後の方で症状がなく、特にリスク因子がない場合でも、1度は胃カメラで状態をチェックしておくことが望ましいとされています。
異常がなければ、次の検査は2〜3年後でも良い場合もありますが、ピロリ菌の感染歴がある方や、胃炎・ポリープの既往がある方は毎年〜2年に1回の定期検査が勧められます。
リスクに応じて医師が適切な検査間隔を提案しますが、重要なのは「自分の胃の状態を一度知ること」です。
より早期に検査を受けるべき人とは?
胃カメラは40歳からで「十分」とは限りません。
次のような方は、20代、30代であっても早めの検査を考えるべきです。
たとえば、家族にピロリ菌感染のある、胃がんの既往歴がある方は、遺伝的要素や育った生活環境の影響を受けやすく、発症リスクが高くなる傾向があります。また、ピロリ菌感染の既往がある方も、将来的に胃がんや萎縮性胃炎に進行する高いリスクが指摘されています。できるだけ早い年代でのピロリ菌の除菌が、胃がんの発生リスクを下げられることが出来ます。
さらに、慢性的な胃の痛み・不快感・胸やけ・吐き気・体重減少などがある方は、年齢にかかわらず胃カメラで精査することが必要です。症状があるということは、すでに何らかの異常が進行している可能性があるからです。「若いから大丈夫」と思い込むことが、一番のリスクかもしれません。
よくある質問
胃カメラってつらい検査ではないですか?
A.以前は「つらい検査」というイメージがありましたが、現在は大きく進化しています。日本では、鎮静剤を使わない胃カメラ検査が行われていました。口から胃カメラ検査は、とてもつらい、苦しい検査というレッテルが張られたことで約15年程前、鼻から入れる経鼻内視鏡が開発され、 嘔吐反射が少なく、経口胃内視鏡に比べ比較的楽に、また、希望すれば鎮静剤を使う施設も増えてきました。
経鼻内視鏡では、画質落ちる、吸引力、届来にくい場所があったり、咽頭反射の強い方は、いまだに辛い検査、鼻出血、前処置ゼリー状、表面麻酔が辛い、検査後に残る、検査後鼻の奥が痛い、鼻穴が小さく入らなかった というお声を頂きます。
鎮静剤使ってなら、さらに楽になると思うのですが、、、。当院は、基本鎮静剤を使用し、口から表面麻酔なしで、眠ったまま出来る為、後の違和感もなく,辛くない、無痛状態で行っています。
実際に受けた方からは「すごく楽だった」「これならまた受けられる」という声が多数寄せられています。
鎮静剤なしで何度も鼻から胃カメラされている方は、今まで通りの方法で行っています
ピロリ菌が陽性だったことがあります。胃カメラは必要ですか?
A.はい。ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク因子です。除菌後であっても、粘膜の強い萎縮や炎症痕が残る場合がありますので、年に一度の内視鏡検査が推奨されます。ピロリ菌感染歴がある方は、必ず定期的な胃カメラ検査を受けるようにしましょう。
健康診断でバリウム検査を受けていますが、それではだめですか?
A.バリウム検査では胃の内部を“間接的に”観察するため、早期のがんや微細な病変を見逃す可能性があります。一方、胃カメラでは粘膜を直接見ることができ、その場で組織検査(生検)も可能です。正確性・安心感の面で、胃カメラの方が圧倒的に優れています。
費用はどのくらいかかりますか?保険は使えますか?
A.医師が必要と判断した場合、胃カメラは保険適用となり、自己負担は3割でおよそ3,000円〜6,000円程度です。人間ドックなどの自費診療では価格が異なりますが、まずは医療機関で相談してみてください。
何も症状がなくても受けた方がいいのでしょうか?
A.はい。胃がんや萎縮性胃炎などは、初期段階ではほとんど症状が出ないことが一般的です。だからこそ、「症状が出る前」に受けることが重要です。定期的な胃カメラは、命を守る予防の一歩です。
最後に:胃の健康は、40代から守るべき時代へ
胃カメラは、「何かあった時に受ける検査」ではありません。今や、症状が出る前に“自分の今”を知るための検査なのです。40歳という節目は、体の中でさまざまな変化が起こるタイミングでもあります。
だからこそ、これを機に一度、自分の胃の状態を確認してみてください。
未来の自分が後悔しないために。そして、大切な人のために。
胃カメラという選択が、あなたの健康を守ります。